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WeB DoRaMa

〜ローゼンメイデン〜

小説だって事実より奇なり!?
読みたい人は自分も小説を書きましょう!!


翠星石「…………」
ナレーション「蒼星石は出かけていった。鞄の音が小さく響いて、やがて聞こえなくなった。しばし部屋で膝を抱えて座り込んでいた翠星石は、ふと立ち上がり蒼星石の出かけていった外を眺めた。この間までの鬱とした雨が嘘のように、今日は晴天に見舞われている。天気はいいのに、何故か気分が晴れない。」
翠星石「…ま、過ぎた事をぐだぐだ言ったってしゃーねーです。今日はひとりでのんびりしてやるですぅ」
ナレーション「どことなく晴れない気分を紛らわすため、思考を一時中断。部屋にごろんと寝転がり、そう高くない天井を見上げる。」
翠星石「…………」
効果音「サワサワ…」
翠星石「ん……」
ナレーション「開けた窓から涼しい風が入ってくる。この暑い最中にはちょっと珍しい、ちょっと冷たさを感じる風。頬を撫でるように過ぎてゆく風が心地よい。起きてしばらく経つが、またしてもうとうとと、眠ってしまいそうだった。」
効果音「サワサワ…」
翠星石「…蒼星石…」
効果音「サワサワ…」
翠星石「…………」
ナレーション「小さく蒼星石の名を呼んで、そこで翠星石の声は、思考は、途絶えた。やさしく、冷たい風に吹かれながら、やがてゆっくりと瞳を閉じた。」
効果音「サワサワ…」
ナレーション「そしてその頃、ひとり桜田家へと向かった蒼星石は真紅たちと一緒に午後のひとときを過ごしていた。」
効果音「カチャカチャ…」
真紅「…ん。ジュンにしては今日の紅茶はなかなかだわ。蒼星石、貴方はどう?」
蒼星石「うん。結構なお手前で」
雛苺「おいしいのー♪」
ジュン「そりゃどうも。あぁおい雛苺!こぼすなよ!」
雛苺「はーい!」
ナレーション「ジュンの淹れた紅茶(蒼星石はほうじ茶)を飲みながら、楽しく皆で午後の時間を。今日はひとり足りない事を、真紅は首を小さく傾げ再度訊ねた。」
真紅「それにしても…翠星石が具合が悪いだなんて、いったいどうしたのかしら…」
蒼星石「大丈夫。家で大人しくしとくよう言ってあるから」
ナレーション「さずがに表向きに「そういうこと」をしたとは言えず、とっさの口実を。いや、あながち嘘でもないのだが。恥ずかしがって出てこなかった、など、簡単に言えるはずもなかった。」
真紅「ならいいのだけれど…。あらジュン。どうかしたの?」
ジュン「いや、別に…。具合悪いって…お前らってほんと人形には見えないところ多いよな…」
ナレーション「薔薇乙女。動いて喋る、不思議な人形。己を持って、己の意志で動く、奇妙な人形。表情がくるくる変わったり、妙な能力を使えたり、ジュンにとっては奇怪人形そのもの。…人形のくせにやけに食い意地張ってるし。」
ジュン「よく出来てるっていうのか何なのか…やけに繊細というか…」
真紅「当然だわ。私達は誇り高き薔薇乙女のドールズ…。お父様の人形なのだから」
ジュン「お父様…ね。まぁいいけど。紅茶、おかわりいるか?」
真紅「いただくわ」
ナレーション「ジュンは紅茶のおかわりを用意にいったんリビングへ。真紅もそれに続きリビング近くの椅子へと腰掛ける。そんな様子を眺めてから、蒼星石は庭にある花壇へと足を運ぶ。」
効果音「ガラッ…」
蒼星石「…うん。いい天気」
ナレーション「窓を開けて、外へと。靡く風を心地よく感じながら、眩しく差し込む日差しに目を細めながら、蒼天の空を見上げる。カラッと晴れた、気持ちの良い天気だ。」
効果音「サワサワ…」
蒼星石「(翠星石は…どうしてるかな)」
ナレーション「一度言い出したら梃子でも動かない姉・翠星石。理由が理由なだけに、蒼星石もちょっぴり釈然としないものが、あるようなないような。」
蒼星石「(大丈夫…だよね)」
ナレーション「別に、黙って出てきたわけではない。ケンカをしたわけでも。きっと今頃は家でのんびりとくつろいでいるに決まっている。恥ずかしがっているだけで具合など悪くないはずなのだから。」
蒼星石「(…うん。きっと大丈夫。翠星石だしね)」
ナレーション「自分の片割れは、そうやすやすとは壊れないだろう。何かしらの危機が迫ったとしても、持ち前の性格で切り抜けてしまうかもしれない。その時はそう思って、何も疑わなかった。」
雛苺「蒼星石〜お菓子だってー!」
蒼星石「あ、うん」
ナレーション「一区切りした思考を、おやつに誘いに来た雛苺の明るい声が停止をかける。頷いて返し、庭を後に、家の中へと戻ってゆく。その時…蒼星石の頭には疑問の一つも存在しなかった。自分にとって何より大切な姉が、今のこの瞬間、危機に晒されている事に…。」
効果音「ザワザワ…」
翠星石「…………」
効果音「ザワザワ…」
ナレーション「耳障りな音が響く。風の音とは違う、ひどく軋んだ音。何かが切れたような、何かが壊れたような、とにかく不快な音。」



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WeB DoRaMa Version 1.30.10
[ 管理者:星有 配布元:ShigetoNakazawa ]